2022-07-01から1ヶ月間の記事一覧

【短編】未熟なふたり

「生きたくて生きてきたわけじゃないの。 私は、いつ死んでも構わないの。」 彼女はそう言った。 「でもね、」 彼女はそう続けたが 「分かってるよ。 死にたいってわけじゃない、だろ?」 僕がそう言うと、 「そう、そうなの。」と、彼女は返事した。 僕と彼…

遠くの国の欠片

胸に触れて手を沈める 奥にもっと奥に 空を仰いで手を伸ばす 高くもっと高く 無垢と成熟で成った遠くの国の欠片に触れて 湧き起こった " " は、叡智を創り手に触れた" " は、愛を産む 光は 高い世界の手の届かない天より零れる そして すべてを揺らしすべて…

待ちわびた人

この足はあまりにも頼りなく思える この足ではもう歩みを進めることができないように思える ひとりではあまりにも 寒くて、寒くて、寒くて、 私はひとりぼっちの部屋の中からあの輝く太陽に恋焦がれる 早く、早く、早く、 あたためて欲しくて仕方がないのに…

泣いてもいいよ

涙が零れるポロポロポロ 瞳から溢れるポタポタポタ 泣かないことが偉いんじゃない 泣きたいときは泣いてもいい 声をあげて嗚咽を漏らして 「頑張ったね」 「いっぱい我慢したね」 「大丈夫だよ」 泣くだけ泣いたら虹がかかるよ 新たな光が射し込んでくるよ *…

メシア

雨が降ってる心の中 そばに誰か居てもここには誰も居ない たったひとりで約束されていたかのようにたったひとりで 何度目だろう?嗚咽を噛み殺したのは いつからだろう?眠れぬ夜を過ごしはじめたのは 雨に濡れた心はいつか寒さに負けそうだ 雨が降ってる心…

あせらず、ゆっくり、すすもう。

すこーしずつひとつずついっぽずつ。 ちいさなことをコツコツとつみかさねていけばなにができる? あせらなくていいんだよ。 いちばんのちかみちはゆっくり、すこしずつけれど、ちゃくじつに ひとつひとつをつなげてかさねていくこと。 だいじょうぶ。だいじ…

静穏

"穏やかさ""静けさ" 刺激を求める人にとっては、つまらないもの。私もそう思ってた。 うつ病を患って心が激流に呑まれて苦しくて、初めてそれらを求めた。 まだそこには辿りついてないけれど、時折、胸の奥の触れたこともないような所から、こんこんと何かが…

生きることに向いてない

寒さが孤独を深める夜 誰もが手にするアレ、コレ、ソレ この手にはなんにもなくて思い出す 僕は、生きることに向いてない 馬鹿みたいに同じ過ち繰り返し 誰かのぬくもり拒絶して あいつみたいに器用になんて生きれない 僕は、生きることに向いてない 欲した…

高純度の愛

形を持たない純度の高い愛。 手を伸ばしても触れられないもの。 それは、確かに存在しているのにそれはまるで、存在していないようで。 神さまに近い人たちはそれでも良いと微笑むことができる。 神さまと距離がある人たちはそれが苦しくて悲しいと嘆く。 ど…

傍に

愛すること。 愛されること。 どちらも恐くて震えている子どもに大人はこう言った。 「無理に愛そうとしなくていい。 無理に愛を受け入れなくていい。 今すぐ信じ切れなくてもいい。 君の自由に好きにしたらいい。 今はただ、傍に居よう。」 最後の言葉が言…

瞳の住人

その透明な瞳に映る人は私ではないと、分かっている。 君の瞳の住人は君の想いに気づきながらも"そこには何もないかのように" 振舞って君に小さく笑いかける。 君の瞳の住人は君の大きくてやさしくてあったかい手のことを知ろうともせずに通り過ぎていく。 …

【短編】女優

「愛されたい」 このセリフを私以上に上手く言える者はいない。ユリアはそう自負していた。 ユリアは女優だ。 しかし、みんなに愛されるような女優ではなかった。スキャンダルが多く、演技にも波があるなど癖のある女優であった。 君には才能がある 何度かそ…

壊れて生まれる希望や夢

壊れて 心が傷ついて。 途方に暮れて 涙して。 胸の痛みが 心を荒らすうちは ただ、何かを否定して ただ、運命を呪いたくなる。 けれど... 痛みが癒され 心が静けさを取り戻した頃 暗闇のなかに輝く "希望"に気づかされる。 何もなくなった更地に 新たな"夢"…

愛された実感

愛された実感は 過去、今、未来 すべてを照らす

井戸の底に落ちた心

あの人のことは ほとんど何も知らない。 それなのに、 視界に映るその姿が 心に熱を零すだなんて 考えてもよくは分からないことで。 実に不思議で。 人を愛してしまうことに 理由を探してしまう。 分かりっこないのに 理由を探してしまう。 心の深い所から …

五章

胸の切なさはきっと 秋の匂いや秋風のせいじゃない。 流れ流れて 巡り巡ってやってきた その可愛い笑顔は 何を思うのだろう。 【第五章の幕が開ける】 ストーリーはいつものように 切なさで始まって 切なさでエンディングだろう。 この手はまたもや 虚しく空…

心の空白

心の空白。 風が通り抜ける。 すーすーして 冷たくて、寂しくて、 瞳を閉じた。 埋めたい、埋めたい、埋まらない。 埋めたい、埋めたい、埋めたくない。 心の空白。 風が通り抜ける。 虚しさと孤独に 我慢できなくて 目の前にあるもの 何でも掴もうとする 小…

心は宇宙

心はまるで宇宙のよう。 心には無数の傷や痛みが眠っていて 生きている限り、その傷に、その痛みに触れられては 私たちは、苦しみ続ける。 でも、その無数の傷や痛みが 癒されていくと 人は優しさを知り、 人は強くなり、 人は、愛することを知る。 心は広が…

祈りによって癒える渇き

欲しいモノは何ですか? 美貌ですか? 富ですか? 賞賛ですか? さあ 探し求めて掴んだソレを 胸の内の 砂漠地帯に流し込み 充実感と満足感を味わって そして また、 渇く 探しモノは何ですか? 恋人ですか? 友達ですか? 家族ですか? 愛、ですか? 探し求…

赤い風

紺色の空を 仄かな光が照らしだし カーテンから零れる明かりで 目を見開いた 頭の中に 曖昧な夢の残像 時の流れは 瞬く間に記憶を奪い去り 夢のストーリーは 忘却の彼方 でも 心に残った 熱を孕んだ重みが 登場人物が 君であったことを 思い出させてくれたけ…