赤い風

woman in brown corduroy hooded coat standing near brown boulder covered on snow at daytime

 

 

紺色の空を

仄かな光が照らしだし

 

カーテンから零れる明かりで

目を見開いた

 

 

 

頭の中に

曖昧な夢の残像

 

 

 

時の流れは

瞬く間に記憶を奪い去り

 

夢のストーリーは

忘却の彼方

 

 

でも

 

心に残った

熱を孕んだ重みが

 

登場人物が

君であったことを

思い出させてくれたけど

 

 

 

師走の氷の風は

髪をゆらゆら

揺らして

 

私はまた

冬の匂いを思い出す

 

 

冬は寒さだけじゃなく

君の記憶も連れ戻す

 

 

 

あの日の笑顔を

頭の片隅に置いて

 

 

私はただ

時折それを見遣っては

 

 

なんにも考えず

心の静寂の奥に起こる

赤い風を、感じるだけ